シンセサイザー研究室

シンセの今後

次世代ハイエンドシンセ

ハードウェアシンセサイザー史上、最も最先端を行ってるKORG KRONOS2をベースに ハイエンド次世代シンセの未来を予測してみる。

KORG KRONOS

KRONOS2に足りない物を挙げるとすると次のようになる
 1.ハードウェアの拡張性(メモリ、DSPボード増設によるハードウェアアップグレード等)
 2.起動の高速化
 3.さらなる軽量化
 4.ケーブルのワイヤレス化
 5.さらなる低価格化

1.ハードウェアの拡張性
システムボード、メモリ、大容量ストレージ(SSD)の交換が出来る仕組みにした方が良いのではないだろうか。
OSも64bit化し、ある程度メモリやSSDの交換を許すとか(定められた規格に準拠した製品をピックアップしてテストするとか)
PCアーキテクチャを選んでしまった以上、CPUはコロコロ変わるし、ソケットも変わってしまうので、システムボード交換キットを売り出して ユーザーにやらせるとか(もちろん交換サービスも有償で提供)

2.起動の高速化
これは起動時のシステムファイル整合性チェック、アクティベーションチェック、OSブートとPCMデータ読み込み動作から来るもので、 OSとデータの置き場所、処理用バッファメモリをM.2 NVMe SSDやSSDよりも高速な次世代不揮発メモリに置くことで解決出来ると思われます。 NVDIMM(SSDとDIMMのハイブリッド)、MRAM等の電源落としても消えない次世代高速不揮発性メモリに保存しておけば、 電源を消してもいちいち忘れないので電源を付けたら即起動が実現します。

3.さらなる軽量化
ハードウェアシンセサイザーって意外とデザイン重要なので、 デザインが犠牲にならない程度で軽量化するしか無いかと。
生産コストとライブでの運用に耐えうる耐久性の兼ね合いだけど、 枠に木材を使用とか天然皮革使用とか変なことはしないで良いと思います。
軽量素材を使用した特別モデルを用意するとか、付加価値を付けるのも面白いかも知れません。

※ KRONOS LSが出たので実現しましたww

4.ケーブルのワイヤレス化
そろそろMIDI信号や音声信号を空中に飛ばしても良いのではないだろうか。
メーカーがいくら頑張って作っても鍵盤が気に入らないって人もいるだろうし、
ラック型やデスクトップ型の製品にBlueTooth対応MIDIコントローラで制御とか
スマートフォンと連携とか
※ MIDIに関してはBluetooth MIDI、音声遅延はaptX Adaptiveプロトコルで2019年に解消予定

5.さらなる低価格化
まぁねぇ。企業努力かなぁ。一番掛かるのはソフトウェア開発による人件費だと思うので。
ハードで儲けるスタイルからデータとソフトウェアをネット販売で儲けるスタイルに変えるとか。


ミドルレンジのシンセの未来を予測

上記はマニア向けのハイエンドシンセの話だが、ミドルレンジで売れ筋の製品はどうなっていくのでしょうか。

やはり今と同様汎用マイコン(SoC)+オリジナルDSP(プログラマブルFPGA)のスタイルになるでしょう。
ただ、PCMオンリーという時代は幕を閉じ、PCMシンセ+ソフトウェアシンセ(アナログモデリングや違う音源方式)になっていくでしょう。
※ RolandのFAシリーズ、ヤマハのMontage、MODXが現にそうなっています。
中身を固定するのではなく、DSPボードを増設出来るようにして計算能力をオプションで提供するとか。
不揮発メモリ上にインターネット経由で購入したPCM波形データを組み込んで演奏とか。
※ Yamaha Motif XF/ MOXF、Montage、MODX、Roland FA/ Juno DSがそうなってますね。
電源を投入すれば即演奏可能というハードシンセの利点は出していく必要があります。
音源の進化は成熟して来てるので、ユーザーインターフェイスの改良にも積極的に取り組む必要があるでしょう。
コントローラのセンサーの解像度アップ、液晶のマルチタッチ対応など。MIDI規格にこだわる必要も無くなって来ていると思います。


バンド向け、DTMユーザー向け軽量シンセ

ヤマハMOXF、MODX、コルグのKROME、KROSS、ローランドのJUNO-DS辺りが答えを出してる気もするが、何せ鍵盤がショボイ。
ローランドのJUNO-STAGE、Jupiter-50(いずれも生産完了)は、アフタータッチが省略されたがしっかりしたセミウェイテッド鍵盤が採用されているのでプッシュしたい。 っていうかこの鍵盤他のも採用しろと。
音源無しのモデル(コントローラ機能のみ)とかもあって良いだろう。
また、ショルダーキーボードやワイヤレスオーディオシステムを充実させても良いのではないだろうか。
(ワイヤレスオーディオシステムはサードパーティ製に依存となっている)


さらに未来のシンセは?

MIDI信号はプロトコル(送受信の仕組み)だけが生き残り、 BlueTooth、Wifiなど別の仕組みで空中を飛ぶようになると思われます。(標準装備にしてくれ)
もちろん送受信の帯域が広いので音声信号も同時に飛ぶでしょう。
そして、ネットワークを使った新しい楽器も登場するのでは無いでしょうか。
ネットワークを使って世界中のプレイヤとバンドを組むとかいうありふれたものも ありますが、演奏情報をネットワークを使ってスーパーコンピュータに送り、 計算結果だけを送り返して貰って再生するとか、プライベートorパブリッククラウド的発想の電子楽器も登場するでしょう。
例えば、グランドピアノをモデリングした物理音源とか、PCなどでも不可能な 演算が必要な場合も、外にあるコンピュータに任せれば良いと。
グラフィックスカード、CPU内蔵GPUやコプロセッサ、FPGAの演算能力を応用したコンピューティングの活用もあり得るでしょう。


初心者用シンセサイザがない

最近困ってるのが、初心者に何を勧めて良いか判らないこと。
確かに低価格の初心者向けと言われるシンセサイザもあるけど、 上位機種の性能やインターフェイスを低価格にして下に持ってきているだけの 本当に初心者の立場に立ったシンセサイザがあまり無い。
※ Roland VR-09がかなり良いが、本体での音色エディットを放棄してしまったのが痛い。そして鍵盤がショボイ。

自分の場合、入門シンセはヤマハのEOSであった。
EOSは電源投入後すぐに音が鳴らせるスピーカー、SY-22相当の音源と 8パートのシーケンサが付いた「初心者を馬鹿にしてない初心者向けシンセサイザ」であった。

スピーカーはアクティブサーボテクノロジーとかいうヤマハのテクノロジーを使った 本格的な物だったし、曲がりなりにもFMとAWM(PCM)のハイブリッドシンセサイザ、 8パートながらQX3ライクな本格的ハードシーケンサを装備。
音色も別売りのカードで提供された。
ドキュメント類もコミックで簡単なシンセサイザの紹介があったり、 攻略本のようなムックも2~3冊出ていて、テクニックも身に付いた。

このように、今の初心者向けシンセサイザと違って、初心者の立場に立った設計と、 初心者用と馬鹿にしてないハード、カードによる音色提供などの拡張性、 ドキュメントの充実やアフターサポートなど、ある程度、初心者に向けた配慮のある優れたシンセサイザーだったのである。
売りっぱなし、投げっぱなしでない、このシンセサイザは、当時スマッシュヒットした。(小室哲哉プロデュースってのも影響?)

今のシンセサイザーはタッチパネル液晶の採用でやっと操作性と視認性が良くなってきた。
しかし、プロ向けのユーザーインターフェイスをそのまま持ってきているため、初心者向けとはなっていない。
初心者を育てていく為には、性能をそのままに、マニアックなパラメータを省略した、初心者にも優しいプロダクトも必要では無いだろうか。


魅力を伝える努力が必要

そして、魅力を伝える努力が必要である。
いくら、魅力的なハードを作った所でその魅力を伝える努力をしなければ、無意味だ。
例えば雑誌や楽器店の情報は提灯記事満載でスペックをただ文章にしただけの丁稚な記事が大半だ。
例えば、お抱えの有名アーティストに紹介記事を書かせるスタイルを止め、 もっと楽器会社や開発者が直接魅力を訴えたり、積極的に「何が売りなのか」 を自分たちの言葉でアピールすべきなのではないだろうか。
Webセミナーなどもっと積極的に、目立つ所にリンク張って紹介してみてはいかがだろうか。
提灯記事よりもV-SYNTHのWebセミナーの様な「ノイズにこだわってみる」とか面白い記事が望まれているのではないだろうか。

土日の大阪のヨドバシカメラ梅田店や東京の町田店、新宿店を覗いてみたのだが、 しっかりとした楽器コーナーがあり、集客率も高いようだ。
楽器店もギターと電子ドラムはあるけど鍵盤楽器はピアノだけというケースが多い。
ちゃんとお客さんに触って貰えるように努力してますか?
触ってみて、弾いてみて、聴いてみて初めて判るのが楽器です。


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