シンセサイザー研究室

シンセを買う(中~上級者向け)

私、K_Take所長が2台目以降にオススメするシンセサイザを「勝手に」ご紹介します。
ここでは
 ・1台はワークステーション級のシンセを持っている
 ・シンセサイザに関しては初心者レベルは卒業した
 ・自分の好きな音楽のジャンルが確定している
という前提を元に考えて行きます。


2台目以降のシンセ選び

1台目で色々と研究済みですから、自分がどんなジャンルの音楽が作りたいかは よく判っていると思います。
そして気になるシンセサイザがあったとします。
その際は、自分の持っているシンセサイザーで満足出来る音が、シンセサイズして 作り出せるかどうかトライしてみましょう。
そこで物理的にというか、仕組み的に無理と判断されたらセカンド、サードシンセを 狙ってみましょう。

例えば、PCM方式のシンセサイザを持っていたとしましょう。 PCMシンセサイザの宿命はピッチが変わると音が変わってしまう事。
その為、マルチサンプリングといって鍵盤ごとにPCMが録り直されているのですが、 鍵盤と鍵盤の境目があったりして気になることがあります。
また、PCM音源はエレピやピアノなどタッチによって音色が変わる楽器の再現も苦手。

コレはユーザーにはどうすることも出来ないPCMシンセサイザの宿命。

そこで、
 ・PCM音源の弱点が克服されたシンセサイザーを追加
 ・リアルな管楽器を表現するためにモデリング音源を追加
 ・大容量のPCMで物量作戦に出る(容量がギガ級のサンプラーなど)
 ・シンセサイザー特有の音色変化を求め、バーチャルアナログシンセサイザーを追加
 ・いっその事、本物のアナログシンセサイザーを追加
 ・エレピをモデリング音源やFM音源などで代用
などなど、色々手段を検討し、必要ならば導入するのです。

では具体的にオススメ機種を紹介したいと思います。


KORG prologue / minilogue xd

KORG prologue

※ Amazonのレビュー等でピッチがずれるとか書いてあるのはファームウェアの不具合で、
ファームウェアver1.30以降にアップデートすることで若干改善します。

本物のアナログシンセサイザーです。
同時発音数8音の49鍵盤prologue 8と16音の61鍵盤prologue 16があります。
prologue 16にだけ最終段にアナログ・コンプ/ブースターが付いてます。

圧巻の基盤4段重ね!(1ボード辺り4音担当。prologue 8は2段重ねになってます)
prologue board

1音色3オシレータで、1と2がアナログオシレータ、3がノイズ、VPM(2オペレータのFM音源)、ユーザーオシレータから選択となっています。
アナログVCOの回路はminilogueとほぼ同じものだそうです。パルスウィズのノブはパルス以外の波形を選択しても変化します。
ユーザーオシレーターというのは、ユーザーがプログラミングしたオシレータをライブラリアンから転送して使います(16種類まで)
ユーザーオシレーターのサンプルとしてコルグの作ったWavetableオシレータが一つ提供されています。
PCM波形とか、そういう生易しい物ではなく、本当にPC上でプログラミングして作った「プログラム」を格納して使います。
ピッチEG、LFO、リングモジュレータ、オシレータシンク、クロスモジュレーションも当然付いてます。

フィルターは1個でドライブ付き2ポールのローパスとハイパスを切り替えで使えます。
こちらの回路はmonologueに近い感じのものだそうです。

エフェクターは32bit浮動小数点処理となっていて、モジュレーション・エフェクトとディレイ/リバーブの2系統を備えています。
コーラス、アンサンブル、フェイザー、フランジャー、ディレイ、リバーブなどがあります。
これまたユーザーエフェクトスロットというのがあり、自作のエフェクト・プログラムをロードして使えます。

バイ・ティンバー(2ティンバー)なので、音色を2つ同時に使えます。重ねても、スプリットで左右に分けて使うこともできます。
アルペジエータも装備しています。

鍵盤はアフタータッチはありません(受信もしない)が、Kronosと同じ日本製おもり付きシンセ鍵盤です。

殆どのパラメーターが1024段階で設定出来ます。

本物のアナログシンセの音が欲しい人は是非!
※ 部屋の温度と本体の温度が馴染まないとピッチが安定しないそうです。電源入れてから10分位してshift + Exitでチューニングしましょう。

詳細はこちら
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/prologue/


2019年にminilogue xdとそのモジュール版が登場しています。

KORG minilogue xd
KORG minilogue xd module

詳細はこちら
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/minilogue_xd/
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/minilogue_xd_module//
prologueのボード1枚分に相当するスペックとなっています。鍵盤はミニ鍵盤で、発音数が最大4ですが
モノシンセ(シンセリードやベース)として利用するならminilogue xdでもアリです。
鍵盤と発音数以外は、ほぼ仕様はprologueと一緒です。
モジュール版はさらに鍵盤を取った物になります。


<マニアックな解説>
prologue / minilogue xd に載せているOSC3、エフェクター用のマイコンは
ARM Cortex-M4(FPU付) 32bit 180MHz (プログラムサイズ 512KB(フラッシュ)チップ内蔵RAM 128K x 8)
https://www.digikey.jp/product-detail/ja/stmicroelectronics/STM32F446ZET6/497-15374-ND/5175960
Cortex-M4 は、M3 に信号処理演算用の DSP 機能を追加し、演算性能を強化したものです。
prologueに搭載の物は、さらに浮動小数点演算用の FPU をオプションで追加したCortex-M4Fと呼ばれる物です。
演算能力は本体が225 DMIPS。DSP機能、FPU機能はよく判らず。
メモリはSDRAM 64Mb(8MB)搭載されている模様です。

開発環境はOSX、Linux、Windows、MSYS(Windowsで動くUNIX環境らしい)の4つ
ライブラリアンがWindows版とmacOS版しか無いのでWinかMacでプログラミングするのが無難でしょう。
ARM用GCCコンパイラ、Make GNU、Zip Utilityの3種類が必要。(バージョン指定あり)OSXはGCCだけで良いみたい。
Githubにwavesっていうデモコードがあり、それを参考にコンパイルして拡張子「prlgunit」のファイルが生成出来れば、環境は完成。
これをひな型に頑張れという事らしいです。
一応、サイン波と矩形波のサンプルソースもあるみたい。
基本的にC言語で、C++のサブセットもサポート。
RAMはオシレーターに関して、コードと可変領域を含め32KB以内。エフェクトはディレイに関して、最大2MBまで。
LFOはマルチ・エンジンのシェイプというパラメーターにモジュレーションをかけることが可能で、
自作オシレーターはこの機能を利用することができます。
自作オシレーターに編集可能なパラメーターは6つまで。


KORG KRONOS

KORG KRONOS

詳細はこちら
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/kronos2/

2019年にKRONOS Special Editionという赤いグラデーション塗装のモデルが追加されました。
コルグのGrand Stageのピアノが追加になっているのでちょっとお得です。
今買うならコチラがお勧めです。(88鍵盤しかありませんが)

コルグシンセサイザー最上位機種です。9つの音源を一つに集めたコルグの歴史集大成のシンセサイザーです。
現在第三世代「KRONOS」となっています。(横が木になってるのが新しい物です)
金色とか銀色の物もありますが中身一緒なので気にしないでください!

鍵盤をライトタッチにして軽量化したKRONOS LSはこちら(鍵盤以外の仕様は一緒)
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/kronos2_ls/

中身は2005年登場の80万円した幻のシンセ「OASYS」の移植+αです。
OASYSのプログラムをベースに初代KRONOS>KRONOS X> New KRONOS(WebサイトのアドレスではKRONOS2)と3世代を経てるので、 非常に複雑なシステムの割に安定しています。
ユーザーインターフェイスの肝は大画面のカラー液晶タッチパネル。
その他、ベクターシンセシス等で使用するベクタージョイスティックやリボンコントロールも装備されています。
16トラックのMIDIシーケンサーに加えて16トラックのオーディオレコーダも付いてます。
弾いている最中にプログラムを切り替えても弾いていた音が切れない スムース・サウンド・トランジション機能もあります。
OASYS、M3に引き続きKARMAも搭載しています。

9種類もの音源を自由に選択して音色が作れます。音色の単位は「プログラム」と「パフォーマンス」と2種類あります。
プログラムは最大2種類の音源を組み合わせて作ります。 パフォーマンスはプログラムを最大16個組み合わせて作ります。
シーケンサーモードではプログラムを16種類使ってマルチティンバーで演奏させることが出来ます。
エフェクタはインサーション x12、マスター x2、トータル x2と用意されており、 エフェクタの仕様は全部共通で185種類もの中から選んで使います。
インサーションエフェクターは自由に繋げることが可能なため、12個直列とかアホな事まで可能です。

KORG KRONOS 9 Engines
では簡単に音源を紹介します。

■SGX-2 Premium Piano(アコースティック・ピアノ)
SSDにある大容量のピアノ波形データを直接読むPCMピアノです。
ダンパー・ペダルを踏んだときのノイズや、グランド・ピアノの箱鳴りまでもサンプリングし再現しています。
ハンブルク・スタインウェイ Model DとヤマハのCシリーズと正体は明かされてます。
第三世代KRONOSでストリング・レゾナンスシミュレーション、12段階ベロシティ、ソフトペダル対応のベルリン・グランドが加わりました。

■EP-1 MDS Electric Piano(エレクトリック・ピアノ)
エレクトリックピアノ音源で以下の6種類用意されてます。
Tine EP I、Tine EP II、Tine EP V、Tine EP DMP、Reed EP 200、Reed EP200A
Fender Rhodesな音がします。色々なパラメータを使って改造し放題です。
音源に独自にエフェクタが内蔵されているため、インサーションエフェクトを使わなくても良いようになってます。

■HD-1 High Definition Synthesizer(PCM)
ヤマハに対抗する為、8段階ベロシティになっているPCM音源です。
ただのPCM音源ではなく、アドバンスド・ベクター・シンセシス、つまり昔のコルグの シンセサイザー「Wavestation」を含んでいるので、ベクターシンセシスが可能です。
発音数を2倍消費しますが、内蔵波形を次々と切り替えて再生したり、ジョイスティックでモーフィングしたりと色々出来ます。
収録されているPCM波形にWavestationの波形も収録されているため、完全再現も可能です。
もちろん、サンプリングも可能です。サンプリングしたユーザー波形はHD-1の波形として利用可能です。

■AL-1 Analog Synthesizer(アナログ・モデリング)
2オシレータ+サブオシレータ+ノイズのアナログモデリング音源です。
波形にDouble SAWなんてのもあり、二つ重ねなくても分厚い音が出たりします。
SuperSawにしたい場合はユニゾンモードを使用して重ねることが可能です。
オシレータシンク、リングモジュレーション、ドライブ回路等、考えられる物は全て内蔵されています。

■CX-3 Tonewheel Organ(トーンホイール・オルガン)
文字通り、コルグ社のオルガン専用機の移植です。
EXモードという周波数比設定可能なドローバー4本、およびパーカッション4本が追加されています。
左側の9本のスライダをドローバーとして使えます。
この音源もインサーションエフェクトとは別にロータリースピーカー等のエフェクタを独立して持っています。

■STR-1 Plucked Strings(フィジカル・モデリング)
弦を弾く系の物理モデリング音源です。ヤマハの物理モデリング特許貰って作ってます。
弦の素材や長さ、弾く位置、弾き方など、様々なパラメータを設定して演奏する音源です。
ギターやベースだけでなく、未知の音が沢山作れます。PCM(HD-1相当)とレイヤーさせることも可能です。
ヤマハの幻の物理モデリングシンセ「VP-1」にも匹敵する凄い音も作れます。

■MOD-7 Waveshaping VPM Synthesizer(VPMシンセシス)
要はヤマハのFM音源です。加えて、コルグの昔のシンセ「01/W」に搭載されていた、 ウェイブシェイピング機能も完全移植され、融合しています。
PCM音源(HD-1相当)をレイヤさせて鳴らしたり、FM変調の素材に使うことも出来ます。
DX-7のアルゴリズムを全て収録しているのはもちろん、アルゴリズムはケーブルでオペレーターに接続し放題の為、無制限に作れます。
6個のオペレーターには穴が2個あり、フィードバックも各オペレーターに装備されているので
かのヤマハ最強FMシンセSY99のサウンドもほぼ移植可能です。(SY99のファイルを直接読むことは出来ません)
初代DX-7の音色データを読み込めます(システムエクスクルーシブデータ:syx)

■MS-20EX(CMTアナログ・モデリング)
コルグのPC用VSTiレガシーコレクションMS-20の移植です。
ただし、少し改造されており、MS-50相当にパワーアップしています。
オーディオインプットの音声信号を利用したり、KRONOS型のEGを使用可能です。
KRONOSのインサーションエフェクトが使えることを考えると最強のMS-20と考えられます。

■PolysixEX(CMTアナログ・モデリング)
こちらもレガシーコレクションからの移植です。名前がポリシックスなのにポリ180鳴ります。
アナログストリングス、パッド音色などで活躍しそうです。

このように、コルグのM1以降の歴史がほぼ全て凝縮して一つになった集大成的シンセです。
画期的で聴いたこともない音がする!って訳では無いですが、STR-1やMOD-7でヤマハシンセ フリークにもリーチする製品に仕上がっています。
SSDの採用でDAW並みのクオリティのピアノも持ち運べます。
CPUやメモリ、SSDなど低消費電力で高性能なデバイスの登場と、コルグの情熱とソフトウェア技術力が結集した凄いシンセが、
なんとか買える値段まで漕ぎ着けました。 日本人で国産シンセ好きなら是非買ってください。


YAMAHA MONTAGE

Yamaha Montage

詳細はこちら
https://jp.yamaha.com/products/music_production/synthesizers/montage/

ヤマハシンセサイザー最上位機種です。PCM音源+FM音源のハイブリッドシンセサイザーです。
新規開発の「Motion Control Synthesis Engine」というリアルタイムコントロール機能が売りです。
マイコン+DSPを使った今時の組み込みハードウェアシステムですが、ソフトウェアで性能や機能がかなり変わるので
公式ページをチェックしてOSがバージョンアップしていないか確認してください。

このMontage、とても高価でとても重いです。
そこで最近発売となった廉価版MODX6を音源として使ってしまえば、疑似Montageになります。

<MODXシリーズ>
Yamaha MODX

一番安いMODX6とMOTIF XS、XFをMIDIで繋げればFSX鍵盤、ES以前であればFS鍵盤(KORG TRITONでも可)になりますし、
MOTIFの88鍵盤モデルやSシリーズであればMONTAGE8のバランスドハンマー鍵盤になります。
CP4 Stageと組み合わせても良いでしょう。
また、Montageで音色を作りこんでMODXでライブ会場に持っていくといったアイデアも考えられます。圧倒的に軽量になります。

Yamaha Montage

お判りでしょうか。ルー大柴が喜びそうな文章ですね。
ちなみに波形の絵はSY77/99のAFM音源のオペレータ波形なんですが、そんなの搭載していませんww
要は沢山のパラメータをスーパーノブを含めたいろんなモジュレーションソースで制御出来るようになっていて
コルグKRONOSのベクターシンセシス、ウェーブシーケンス、ローランドV-Synthにもあった、入力オーディオをソースに
パラメータをコントロールする機能などが入っているという事のようです。
光の効果で高次元なサウンドは創出出来ないと思いますww

っつーか!スーパーノブなんてタダの光るアサイナブルノブだよ!!

AWM2音源は他社で言うPCM音源です。
その正体はMOTIF XFの中身全部とヤマハ電子ピアノからグランドピアノ「CFX」などの波形で容量をギガ単位で増やした物です。
(全てのカテゴリーで音色クオリティを強化し、7~8割は新しいサンプルらしい)

FM-Xは8オペレータ88アルゴリズムのFM音源(波形はサイン波だけでなく、ノコギリ波など複数搭載)です。
その正体は、FS1R(1998年発売)という音源モジュールから「フォルマントシェイピング」を削除し、発音数とパート数を4倍にした物です。
エンベロープジェネレータ(EG)の高精細化を行っているようです。

この音源にMOTIF XF級のフィルター、エフェクター(16パート+外部用1の17パート分のインサーションエフェクト!とマスターエフェクト)
最新のDAコンバータを経由して高音質で出力されます。
フラッシュメモリを1.7GB搭載しているので、音色ライブラリを電源オンですぐに使えます。
本体の演奏をUSBメモリに録音し、それをAWM2音源の波形として取り込む事も出来るらしいのですが、本格的なサンプリング機能や波形編集機能が無いので、外部PCで編集したWAVファイルをUSBに保存して取り込むといった感じでしょうか。

アルぺジエータ等もMOTIF XFと同じ物を持っており、XF、XS、MOXFと音色データの互換性もあります。
FM音源に関してもDX7シリーズ、TX802、TX816のデータをコンバートして取り込めます。

音色切り替え時に音切れしないSSS (Seamless Sound Switching)機能を搭載しています。(8パート以下で構成された音色で使用可能)
シーケンサーはMOTIF XF相当でリアルタイム入力のみです(ステップ入力はありません)
USBオーディオ機能もあるので、オーディオインターフェイスにもなります。
鍵盤はMOTIF XS以降と変わらず、SFX鍵盤(61鍵、76鍵)とバランスドハンマー(88鍵)です。
音色エディタは用意されませんが、Cubase AIは付属してきます。

※ シェアウェアで音色エディタは存在します。
Montage Tools
http://www.jmelas.gr/montage/

簡単に言っちゃうと
「MOTIF XF(波形強化?) + ヤマハの電子ピアノ + FS1Rからフォルマント機能を取ったもの + Motion Control + タッチパネルとLED沢山」
です。

物理モデリング音源も無ければ、アナログモデリング音源も無い(PWMやオシレータシンクといった音は出ない)、
弱点(PCMなので弾く高さで音色が変わってしまう)も抱えていますが、
FM音源をHDリマスターしてMOTIF XFとくっつけてリアルタイムコントロール性能を強化した物がMONTAGEという事になります。

ヤマハの音が好きな人、ヤマハのデジタルフィルタ、エフェクタ、DAコンバータ等のクォリティを求める人、ヤマハのデザインが好きな人
他社製品の鍵盤に満足できない人、タッチパネルインターフェイスやLEDで視認性のあるユーザーインターフェイス、
多彩なリアルタイムコントロールに興味がある人は是非チャレンジしてみてください。高いけど。

いろんなアーティストが宣伝ムービーで色々褒めてるんですけど、FS1Rとか誰一人知らないし、MOTIF XFと大差無いとか誰も言わないので
楽器屋で弾いて触って、自分で判断して買ってくださいね!

<マニアックな解説>
KORG KRONOSがPCアーキテクチャなのに対し、MONTAGEは組み込みシステムで勝負を挑んでいます。
メインとなるDSPは「SWP70」というチップ。SWPはStandard Wave Processorの略。
海外のPSR-S770、PSR-S970というアレンジャーキーボードに採用されているチップらしいです。
ルネサス SH4AL-DSP CPU「SH7731」とセットで使われているらしいが、良くわかりません。
OSは恐らくMOTIF XSから使っててヤマハも出資している組み込み向けのMontaVista Linux辺りでしょう。
SWP70はNANDフラッシュメモリとの間をSATAより速いOpen NAND Flash Interface (ONFI)で結び、
フラッシュメモリに圧縮されて格納されているデータを内蔵のキャッシュメモリ(8MB?)や外部ワークSDRAMメモリ(64MB?)
を使用して高速波形再生をこなします。(256チャンネルでAWM2の発音数がステレオで128音)
なので、KRONOSがプリセット波形を一旦DRAMに読み込むのに対して、直接再生してしまうため、起動が速いんですね。
FM-XはFS1Rのソフトウェアエミュレーションといった感じでしょうか。

<参考URL>
http://sandsoftwaresound.net/swp70-tone-generator/
http://icon.jp/archives/12312


Clavia Nord Stage 3

NordStage3

スウェーデンの楽器メーカーClavia社が2017年に発売した、究極のステージ用キーボードです。
ピアノ、オルガン、シンセサイザー、エフェクターが全て同時に使え、リアルタイムに音色コントロール可能です。
それぞれの楽器が単体で売ってる同社の楽器のクォリティとなっており、Clavia社の技術の集大成となっています。

鍵盤はイタリアのFatar製高級鍵盤で全てアフタータッチ付き。
・73鍵盤のウォーターフォール鍵盤の「Compact」※このモデルだけ、オルガン用物理ドローバーが装備されてます。
・76鍵盤のハンマーアクション、ポータブル鍵盤(HP鍵盤)
・88鍵盤の本格ピアノ鍵盤
の3つがあります。

液晶は有機EL(OLED)を使用、とても見やすくなっています。
他社のステージキーボードが音色作成機能をカットしたり、iPadアプリにしたり、エディタやタッチパネルにしたりしてなんとかしてるのに対し、
愚直にすべて、ノブやボタンなどでリアルタイムコントロールすることにこだわった作りになっているのが特徴的です。

ピアノはNord Pianoでの実績が反映されたもので、容量2GB、発音数120音と余裕。
オルガンはNord Organ C2Dのエンジンを搭載。2つの新しいパイプ・オルガン・モデルがプラスされています。
シンセサイザーはNord Lead A1をベースにSuperSAWを追加。シンク、FM、リングモジュレーションなども当然装備し発音数も34に増えています。
また、480MBの書き換え可能なサンプルプレイバックを搭載し、シンセサイザー波形として使えます。
プログラム切り替えを行っても、音が切れない仕組みも搭載しています。
エフェクターもステージキーボードに欠かせない物を余すことなく搭載。
エフェクタ1にトレモロ、ワウ、オートパン、リング・モジュレーター、エフェクタ2にフェイザー、コーラス系
アンプ-EQ-フィルター、ディレイ、コンプレッサー、リバーブが装備されています。

とにかくこの1台でどんな音でも出せるようになっていて、ステージ困ることはありません。
重量もCompactで10Kgと軽量になっています。
外国の製品ですがディストリビュータがヤマハとなっていいて、サポートはしっかりしてると思われます。
日本語マニュアルがしっかりしてるのがさすが上場企業です。
http://www.nordkeyboards.jp/downloads/index.html

従来からNord 〇〇を知ってる方にとっては、ぶっちゃけ、Nord Electro 5にNord Lead A1をくっつけて強化した物、となります。
お値段はヤマハ税も込みで40万前後と高価ですが、本体でのエディットやリアルタイムコントロール、鍵盤にこだわる人は買いでしょう。

詳細はこちら
http://www.nordkeyboards.jp/products/nord-stage-3/index.html


Roland JUPITER-80 Version 2

ROLAND JUPITER 80

生産完了品なので中古等で見つけたらって事で。

詳細はこちら
https://www.roland.com/jp/products/JUPITER-80/

ローランドシンセサイザー最上位機種の一つです。SuperNatural音源集大成のシンセサイザーです。
名前に「JUPITER」と付けたのはデザインを含めて同社のアナログシンセサイザ 「JUPITER 8」にあやかっただけで、特に意味はありません。
「Super Natural シンセサイザー」と考えてください。

この機種の大きな特徴はSuperNaturalテクノロジーによるリアルな生楽器の音と 「Behavior Modeling Technology」と呼ばれる演奏者の演奏をリアルタイムに解釈し、 各楽器独特の振る舞いを表現するテクノロジーの二つです。

ユーザーインターフェイスは大画面のカラー液晶タッチパネルを採用。
同社のシンセサイザー「GAIA」にPCM波形(363個)を使用出来るように改良を加えたようなアナログモデリングシンセサイザーを搭載。
フィルタはGAIAに搭載された物に加え、Jupiter、MOOG、Prophetのフィルタをエミュレーションした物があります。
(Super Natural シンセサイザー)
その他の音源は全てSuperNaturalアコースティック音源です。市販されているローランド電子ピアノと同じ Super Naturalピアノ、ステージピアノやFantom-GのARXボードに搭載されているエレピや ブラスサウンド、同社のV-SYNTH GTにAPシンセシスとして搭載されている、フルートや バイオリン、サックス、二胡などのソロ楽器など全ての音源がSuperNatural音源として含まれています。(117種類)
このSuperNatural音源の最大同時発音数は余裕の256音(音源負荷により上下する)
4つのSuperNatural音源を1セットとしてライブセットを組み、アッパーとロワーに割り当てて使用出来ます。

さらにソロやパーカッションにもSuperNaturalアコースティックとシンセが同時にセッティング出来るのでライブで困ることはありません。
※ トーンホイールオルガン音源だけアッパーとロワーのレイヤー1のみで使用可能
エフェクタはSuperNatural音源毎にインサーションエフェクトがあり、その先にリバーブエフェクトがあります。
ライブトーン用のMFXエフェクタ4つは直列や並列に接続して使えるようになっており、MFXの中にはフィルタなどCOSMエフェクト風の物もある為、
SuperNaturalアコースティックにフィルタを掛けたあと、コーラスで厚みを増してリバーブへ・・・など色々音色作りが出来ます。

SuperNaturalシンセは、ソロ、アッパー、ロワー、パーカッション全部にアサイン可能。
つまりパート10個全部アナログモデリング(3オシレータでPCMも使える)にも出来ます。
SuperSaw 30個重ねられるんです。アホですね。

JUPITER80 Engine
SuperNatural1
SuperNatural2

判りやすいので、ローランドの資料そのまま貼り付けてしまいましたが、JUPITER 80は 最大発音数が256もあるSuper Natural 音源のリアルな音と
「Behavior Modeling Technology」によって演奏の際、波形やら楽器の音楽的な雑音が上手いこと切り替わって
「演奏者が表現したい意図を汲んでくれる」 というのが画期的な楽器であると言えます。

例えばフルートの音色をトリル奏法で演奏するとしましょう。
すると、実際にフルートで、人差し指と中指と薬指で穴を押さえてる状態で吹いてる最中に 人差し指で穴を塞いだり離したりを高速に繰り返したような音になるぞと。 レガート奏法をすると、出だしの一発目の音はフルート独特の出だしで、 その後のフレーズは滑らかに変化するぞと。

Flute

例えばバイオリンの音色をスタッカートやレガート奏法で演奏するとしましょう。
すると弾き始めはちょっと派手な感じ、レガートだと繋がる感じ、スタッカートの時は 弦をチョンチョンっと引っ掻く感じになるぞと。

Violin

ちなみに、ソロ、アッパー、ロワー、パーカッションの4つに違うMIDIチャンネルを割り当てて、マルチティンバー音源としても使えます。
アッパー、ロワーをそれぞれスプリットで左右に割って頑張れば、6パートくらいカバー出来そうです。

JP Synth Editor for iPadというiPadアプリが無料アプリであり、iPadでエディット出来ます。
※ 要iPad Camera Connection Kit
jp_synth_editor.jpg

自分でいろんな楽器をいろんな奏法で演奏すると 「ローランド、スゲーー!!」 ってなるんだけど、ぶっちゃけコレをライブでキーボードで演奏してもお客さんは「うーーん」ってなっちゃうと思うのね。
何故なら、「キーボードで弾いている」という視覚情報がお客さんにインプットされてしまうから。
これは本物の楽器と波形を見比べて、たとえ100%一致してても、そう思われてしまうと思います。
だから、ローランドとしては「ライブで使って貰う」ように作った訳だけど、 実はスタジオやご家庭でDAWやオーディオレコーダの伴奏に合わせて弾いてレコーディングとか、普通にアナログモデリングシンセなどとして ライブで使うとかが良いのではないでしょうか?
例えば、フルート、サックス、バイオリン、ホーンセクションとか今まで、シンセでは本物を超えられなくて、 演奏する人をお金掛けて呼んでたんだけど、自分で「鍵盤で弾いても」プロっぽい演奏になってしまうので、人件費減らせるぞと。

Roland INTEGRA-7

ROLAND INTEGRA-7
ROLAND INTEGRA-7-2

詳細はこちら
https://www.roland.com/jp/products/INTEGRA-7/

歴代ローランドSuperNatural音源+PCM音源集大成のラック型シンセサイザー音源モジュールです。
16パートマルチティンバーでSuperNatural音源を使用可能であり、さらに、PCM音源として2000年発売のXV-5080を丸ごと移植、 さらにSRXエクスパンジョンボード12種類を全て収録しています。(バーチャルスロットが4つあり、そこに刺して使用)
ドラムスに関してもV-Drumから流用したSuperNatural音源ドラムスを使用可能です。

SuperNatural音源に関してはJupiter-80に搭載されている物と同等以上の物を装備しています。
(アコースティック、アナログモデリングシンセ)
MFXエフェクタとEQが16パート毎に装備されており、Fantom-G顔負けとなっています。
(MFXの他にマスターエフェクトとしてコーラス、リバーブ、EQが別途用意されている)
さらに、それとは別にMotional Srround回路(RSS(Roland Sound Space))という3Dサウンドを実現するプロセッサが別途搭載され、 360度、自由に音源を配置出来ます。(Motional Surround使用時はコーラス、リバーブは無効)
リスナーはヘッドフォンまたは2chステレオオーディオでも3Dに聴こえます。

音色エディットは本体だけでも可能だが、iPadを使ったエディットが出来ます。
VST3/AU対応のプラグインエディタがローランドサイトからダウンロード出来ます。
ただし、64bit専用でCubase、Logicしかサポートされてません(動作はFL Studio、Studio One辺りでも動くようです)
もし、自分の使ってるOSが32bit、DAWが非対応、スタンドアローンでエディットしたい等であれば
私が作ったIntegra-7 Sound Editor (Win/OSX)を使ってください。ダウンロードコーナーにあります。

SuperNatural音源を16パートマルチティンバーで自由に使用できるので、ご家庭やスタジオ、ライブでも 16パートをMIDIチャンネルを振り分けて自由にレイヤーして演奏する事が出来ます。
3Dサウンドで音源の位置を自由に設定したりリアルタイムに動かして、演奏者を舞台上で走らせるなんて無茶まで出来ます!

Roland V-Synth GT

ROLAND V-Synth GT

生産完了品なので中古等で見つけたらって事で。

詳細はこちら
https://www.roland.com/jp/products/V-Synth_GT/

JUPITER-80がリアルを追求した難易度低めのシンセなのに対して、 積極的に音をシンセサイズする為に作られたのがV-SYNTH GTです。
こちらも判りやすいカラー液晶のタッチパネルになっています。 タイムトリップパッドという、XYパッドもあります。
v-synthe-gt-lcdtop v-synth-ttpad

特徴はたくさんあります。

バリフレーズテクノロジー。
これはPCM音源に情報を付加し、ピッチ、タイム、フォルマント(音の特徴)という 「音の基本3要素をバラバラに制御する」という事を行えます。
普通のPCMだと、低い音と高い音を再生するとテープの遅回し、早回しのようになりますが バリフレーズの場合、それが起こりません。
例えば、ピッチだけいじる事が出来ます。
ボーカルの歌声をサンプリングして和音で再生すると普通のPCMだと、 鍵盤の上下の音はそれぞれクマのプーサンとドナルドダックみたいな歌声になるのですが、 それが起こりません。
タイムだけいじると言うことも出来ます。
例えば、早口言葉をゆっくり喋ってサンプリングしてタイムパラメータだけ変更すると、 早口言葉を上手に喋ってるように再生されます。
同様にフォルマントだけいじると、例えば、歌声をサンプリングしてフォルマントを 動かすと口をつぼめた様な歌声、口を横に広げた様な歌声に変化させられます。
これらを複数同時にコントローラやLFO、EGで変化させると、不思議な音が作れます。
これをローランドでは「エラスティック・オーディオ・シンセシス」と言っています。 ※ 「ゴムの様な」とか「柔軟性のある」みたいな意味です。
vari_fig1
vari_fig2

アナログモデリング音源も搭載しています。
他の機種と違う色々特徴のある波形が用意されています。
代表的な基本波形の他に、人気のSuperSAWはもちろん、LA音源の波形、αJUNOの波形、 フィードバックオシレータやクロスモジュレーションオシレータ(JP-8000で登場) なども装備しています。
V-Synth GT Analog V-Synth GT LCD1

モジュレーションもオシレータシンク、リングモジュレータ、同社では珍しいFMもあります。

COSMエフェクトを二つ持っています。 シンセサイザでフィルタ回路に当たる位置にある回路で、代表的なフィルターもありますが サイドバンドフィルタ、コムフィルタ、TB-303フィルタなど、他社シンセサイザに 見られない効果が加えられます。
例えば、SuperSAWにコムフィルタを掛けるとSuperSquareに変身してしまうとかですね。
V-Synth GT LCD2

エフェクターもアッパー、ロワーそれぞれに完備しており、インサーション、 コーラス、リバーブ(またはディレイ)があります。

上記のセクションはストラクチャという仕組みで、組み替えたり、オンオフ出来たりします。
V-Synth GT Structure

さらに、AP-SynthesisというSuper Naturalの原型となった音源を搭載。
Behavior Modeling Technologyと同じ仕組みでサックス系、フルート系、アーフ(二胡)系、 バイオリン系などを収録。
JUPITER-80と同じような音がします。
AP-Synthesisモデリング・タイプにはシンセサイザーならではのバリエーションも用意され、 「アナログ・リード・シンセの音色をバイオリンの演奏表現で」といった独自のモデルも あり、これらの音をCOSMに通したり、VariPhraseサウンドとレイヤーさせる事が出来ます。
なので、JUPITER-80を超えた音作りが可能になっています。
V-Synth GT AP-Synthesis

さらにさらに、ボーカルデザイナーというボコーダーを大きく発展させた物が 搭載されています。
鍵盤を弾きながらマイクに向かって歌う、または喋るとボーカルアンサンブルになったり します。通常のボコーダーに加え、男性の声から女性コーラスを作るなんて事も出来ます。
これもアッパーでボーカルデザイナー、ロワーでアナログモデリングや バリフレーズ、AP-Synthesisとすることで同時使用可能です。
V-Synth GT LCD3 V-Synth GT LCD4

最大発音数が最大28音(DSP負荷により減る)と、少々寂しいですがなかなか複雑な処理を 行っているので仕方ありません。

この様に、音を自由に創り出し、演奏するというシンセサイザーの本来の姿に忠実な 電子楽器となっています。


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