フィルター&アンプリファイアセクション
オシレーターを作成したら、次はフィルターとアンプリファイアのセッティングです。
フォルターセクションでは、カットオフ周波数前後の音量を削ってボイスを加工します。
厳密には削るだけではなく、カットオフ周波数の周辺の音量を持ち上げるレゾナンスの設定、
音をブーストしてディストーションを発生させるサチュレーターの設定なども含みます。
また、アンプリファイアのエンベロープ(時間的変化)設定、ボイスの左右定位の設定も、このセクションで設定します。
フィルター1
Virusにはフィルタ回路が2機あります。
フィルター1は12dB、24dBに切り替え可能で、さらにアナログシンセサイザー「MiniMoog」のフィルターを
エミュレーションした物も備えています。
フィルター2は12dB固定です。
■「LP」「HP」「BP」「BS」
フィルタ回路は次の4つの種類があります。まず、フィルターの種類を選択します。
どうでも良いのですが、「LOWPASS」とか文字が書かれた部分にカーソルを当ててホイール回すとフィルタの種類が切り替わります。
LP:ローパスフィルタ HP:ハイパスフィルタ
BP:バンドパスフィルタ BS:バンドストップフィルタ
■CUTOFF
大きなダイアルはCUTOFFダイアルです。このダイアルでカットオフ周波数を決めます。
カットオフ周波数前後の音声を削ってボイスを加工します。グラフ表示の「■」をドラッグしても周波数を変えられます。
■RESO
RESONANCE(レゾナンス)ツマミです。カットオフ周波数付近を持ち上げ「ミョーン」って感じの癖を付けます。
シンセサイザーらしさを出す味付けの代表的なパラメータです。グラフ表示の「■」をドラッグしてもレゾナンスを変えられます。
■ENV AMT
Envelope Amountつまみです。フィルタエンベロープがどれだけフィルタに影響を与えるかを決めます。大きい程影響を受けます。
■+/-
これはEnvelope Plarityボタンと言います。+/-ボタンは押すたびに+と-が入れ替わります。
フィルタエンベロープのプラスマイナスが押すたびに入れ替わり、エンベロープのADSTRが全てひっくり返ります。
例えば、フィルタ全開でスタートし、一旦フィルタで削った音になり、また全開へ向かっていく・・・
といった音色を作る場合はマイナスにしてエンベロープをひっくり返して使います。
■VEL(左側)
Velocity > Filter 1 Envelope つまみです。
ベロシティ(鍵盤を弾く強さ)によってフィルタエンベロープがどれだけフィルタに影響を与えるかを決めます。
大きい程影響を受けます。
■VEL(右側)
Velocity > Filter 1 Resonance つまみです。
ベロシティ(鍵盤を弾く強さ)によってレゾナンスを変化させる際に使用します。大きい程影響を受けます。
■KEY FOLLOW
ツマミはキーボードを弾いた位置によるフィルタの掛かり具合を変えます。
プラスだと右肩上がりでピッチが高いほど明るくなります。マイナスだと左肩上がりで上記の逆になります。
キーボードの境目はFILTER COMMONにあるKEY FOLLOW BASEというパラメータで決めます。
■ANALOG MODE
通常のフィルターとMini Moogフィルタを切り替えるスイッチです。Mini Moogスタイルのフィルターを使用する際に点灯させます。
フィルタ種類選択がLP1~LP4になり、SATURATIONが「Analog Overdrive」に変わります。
LP1~LP4の数字はポールを表し、1ポール辺り6dB削る能力があります。
オリジナルのMoogのフィルタはLP4しか無いのですが、せっかくだからと細かく用意してくれたそうな。
アナログフィルターとフィルター2は同時使用可能です。
フィルター2
フィルター2は大体フィルター1と一緒ですが、カットオフの能力が2ポール(12dB)固定、アナログモードが無いという違いがあります。
また、FILTER COMMONにある「CUTOFF LINK」がオンの時とオフの時で多少異なる動作をします。
■CUTOFF2
大きなダイアルでフィルタ2のカットオフ周波数を決めます。
FILTER COMMONのパラメータ「CUTOFF LINK」が「ON」か「OFF」かで意味が変わります。
「ON」の場合
このツマミはフィルタ1のカットオフ周波数に対して相対的に+か-を決めるようになってます。
ゼロ(12時方向)ではフィルタ1と同じカットオフ周波数になります。
「OFF」の場合
このツマミはフィルタ2のカットオフ周波数を127段階で直接指定することになります。
■その他
その他のパラメータはフィルター1と同じです。
フィルターコモンパラメータ
フィルターの共通パラメータです。ここで、2つあるフィルタ回路の繋ぎ方、サチュレーションの種類などを設定します。
■OSC VOL / SATURATION
オシレータのボリュームを設定します。真ん中が最大で、真ん中より右にするとサチュレータ(ディストーション)が掛かります。
オシレータセクションにある「OSC VOL / SATURATION」と全く同じ物です。
※ Wave Shaperなど一部は真ん中より左でも常に掛かります。
■「SER4」「SER6」「PAR」「SPLIT」
フィルター回路は次の4通りの接続パターンがあります。
SER4は回路を直列に繋げた物でフィルタ1、2両方12dBです。
SER6はSER4同様直列でフィルタ1が24dBになっていて合計36dB削ることが可能です。
※ SERの後の数字はPOLE。1POLE=6dB(音量を1/2にする能力)です。
PARALLELは平行になっています。SPLITは図のように独立した入力信号を受けます。
入力した信号はオシレーターセクションのUNISONにあるPAN SPREADパラメータでステレオ定位の広がりを調整できます。
これにより1ボイスでステレオサウンドにすることが可能となります。
※ SPLITの場合、OSC3はFilter2を通ります。また、リングモジュレータは無効になります。
■SATURATION
Saturationというのは信号を歪ませる回路です。いろんな方法で信号を歪ませる事が可能です。
※ Saturationはエフェクターにもありますが、バリエーションが少ないだけで全く同じ性能を持っています。
エフェクタにあるSaturationはボイス全体に掛ける物です。
一方フィルタにあるSaturation回路は必ずフィルタ1の直後にあり、接続パターンにより、色々音色に変化を与えられます。
Saturation回路による歪ませ方(Saturation Curve)は次のような物があります。
●OFF
文字通り、Saturation回路をOFFにします。
●LIGHT,SOFT,MIDDLE,HARD
アナログディストーションを掛けます。順にキツイディストーションになります。
●DIGITAL
デジタルディストーションです。かなりキツイクリッピングノイズを作り出します。
●WAVE SHAPER
サイン波を使ったウェーブシェイピングを行います。元の波形をサイン波の形をした型で削り取ったような形にして徹底的に歪ませます。
●RECTIFIER
入ってきた波形の半分をひっくり返して歪ませます・・・なんかそんな感じのディストーションです(ぇ
●BIT REDUCER
BITは音量の細かさなんですが、コレを24BITから8BITとかに落とすと、波形がガタガタになって量子化ノイズが発生します。
この波形の歪みを音作りに利用します。
●RATE REDUCER
レイトは周波数。通常44.1KHzのところをレイトをワザと落としてデジタルエイリアスノイズを発生させ、その歪みを音作りに利用します。
●RATE + FLW
RATE REDUCERをキーボードを弾いた位置により変化させます。変化させる境目はKEY FOLLOW BASEで決めます。
(KEY FOLLOW BASEはEDITボタンを押すとアクセス出来る内部パラメータです)
●LOW PASS
1POLE(6dB)のローパスフィルタです。
●LOW + FLW
1POLE(6dB)のローパスフィルタをキーボードを弾いた位置により変化させます。変化させる境目はKEY FOLLOW BASEで決めます。
(KEY FOLLOW BASEはEDITボタンを押すとアクセス出来る内部パラメータです)
●HIGH PASS
1POLE(6dB)のハイパスフィルタです。
●HIGH + FLW
1POLE(6dB)のハイパスフィルタをキーボードを弾いた位置により変化させます。変化させる境目はKEY FOLLOW BASEで決めます。
(KEY FOLLOW BASEはEDITボタンを押すとアクセス出来る内部パラメータです)
以上のサチュレーションを与える深さはMIXセクションのOSC VOLの真ん中をゼロとして右に回す程強くなります。
■KEYBASE
各フィルターのKEY FOLLOWパラメータによってキーボードを弾いた位置によるフィルタの掛かり具合を変えられます。
プラスだと右肩上がりでピッチが高いほど明るくなります。マイナスだと左肩上がりで上記の逆になります。
このKEY FOLLOWのキーボードの境目をKEYBASE(Key Follow Base)で設定します。
■CUTOFF LINK
フィルタ2のカットオフ周波数を決める際、フィルタ1のカットオフ周波数にたいして相対的に変化させるか直接指定するかを決めます。
●ON
フィルタ2のカットオフ周波数はフィルタ1のカットオフ周波数に対して相対的に+か-を決めるようになってます。
ゼロ(12時方向)ではフィルタ1と同じカットオフ周波数になります。
●OFF
フィルタ2のカットオフ周波数を127段階で直接指定することになります。
■FILTER LINK
Virus Controlの便利機能で、コレがオンの場合、Envelope Amount、Resonance、KeyFollowの設定が
フィルタ1と2両方で同時に動かせます。(両方とも同じ値になります)
■FILTER BLANCE
ツマミはフィルタ1の出力(正確にはサチュレータを通った後の信号)とフィルタ2の出力の音量バランスを決めます。
フィルタエンベロープ
フィルタの掛かり具合をEG(エンベロープジェネレータ)を使って時間的に変化させることが可能です。
フィルターエンベロープはオシレータセクションの設定次第でピッチエンベロープとして使用したりFMの掛かり具合に使用する場合もあります。
VirusのエンベロープはADSTR型となっています。
ADSRはそれぞれアタックタイム、ディケイタイム、サステインレベル、リリースタイムです。Tはタイム(Sustain Slope)です。
SLOPEツマミを真ん中より左に回すとFALLで時間が経つとゼロに向かっていきます。
SLOPEツマミを真ん中より右に回すとRISEで時間が経つと最大値に向かっていきます。
ちょうど真ん中だと無限大でキーボードを離すまでサステインレベルです。
※ FALLの場合、ずっと鍵盤押してるとそのうちゼロになります。
このエンベロープはフィルター1、2にある「+/-」ボタン(Filter Envelope Polarity)で極性をひっくり返す事が出来ます。
ひっくり返すとフィルタ全開の状態から始まります。
アンプリファイア
AMPLIFIERはボイスの全体的な音量、左右の定位(PAN)などを設定します。
■VOLUME
Patch Volumeです。ボイス全体のボリュームを設定します。OSC VOLとは異なる最終的なボリューム設定となります。
■VEL(VOLUMEの下)
Velocity > Volumeです。ベロシティ(鍵盤を弾く強さ)によってVolumeをコントロールする度合いを設定します。
他社のシンセではベロシティセンシティビティとか言ったりします。
■PAN
Patch Panoramaです。ボイスの左右の定位を設定します。真ん中が中央で、左に回せば左から、右に回せば右から音声を出力します。
■VEL(PANの下)
Velocity > Panoramaです。ベロシティによってPANをコントロールする度合いを設定します。鍵盤を弾く強さで左右の定位が変わります。
■DELAY
Delay Sendです。ディレイエフェクトに送る信号の量を設定します。
■REVERB
Reverb Sendです。リバーブエフェクトに送る信号の量を設定します。
アンプリファイア・エンベロープ
AMPLIFIER ENVELOPE(音量の時間的変化)の設定をします。
アンプ・エンベロープもADSTR型となっています。
ADSRはそれぞれアタックタイム、ディケイタイム、サステインレベル、リリースタイムです。Tはタイム(Sustain Slope)です。
SLOPEツマミを真ん中より左に回すとFALLで時間が経つとゼロに向かっていきます。
SLOPEツマミを真ん中より右に回すとRISEで時間が経つと最大値に向かっていきます。
ちょうど真ん中だと無限大でキーボードを離すまで鳴りっぱなしになります。
※ FALLの場合、ずっと鍵盤押してるとそのうちゼロになります。