バリフレーズとバーチャルアナログの融合、COSMエフェクト、ストラクチャによる回路の組み換えなど、画期的なシンセでした。
汎用マイコン(日立(ルネサス)のSH-4っていうドリームキャストの親戚CPU)を採用していてソフトウェアの書き換えで機能追加出来たり、D-50とかボーカルシンセに変身出来たりもしました。
ブティックのD-50はこの時のプログラムソースを元に作られてるとか。
D-50ユーザーからはDAコンバーターが優秀過ぎてキレイなD-50とか言われてました。
バーチャルアナログ部分は今もZENCore音源のアナログモデリング部分で生きてます。(JP8000のフィードバックオシレータやJUNO、LAシンセの波形はカットされてるけど)
音をサンプリングしてエンコード処理すると、音声データをピッチ、テンポ、フォルマント成分に分解出来て、それらを別々にコントロール出来るっていう面白い仕組みがありました。
人間の声だと判りやすかったんだけど、PCMだとピッチを上げるとテープの早回し、遅くする遅回しになってしまうが、それが起こらないから自然に鍵盤で喋って歌ってくれる。テンポ変えてもちゃんと自然な早口言葉、遅口言葉みたいになる。フォルマントを変えるとAIUEOっぽく変化する(口をすぼめたり開いたりみたいな感じの声になる)
この変化を左側のデカイタッチパッドコントローラやD-BEAMで操作出来たりしました。(指でクルクル時計回りに回すとその速さで再生、反時計回りだと逆転再生とか)
いまいち受けなかったのは、ローランドがプリセットサンプルデータをあまり沢山用意しなかった(ユーザー任せにした)ため、サンプリング作業とエンコード作業が面倒くさくて大変だったことかね。
DRAMにデータ展開してからスタートだから起動速度が遅いのも問題だったかな。電源切ると全部忘れちゃうし。
あと、処理スピードというか解像度が荒かったかな。(フィルター、ピッチ、エンベロープなど)1024段階の解像度になったのつい最近だし。
この音源の仕組みをうまく活用して、楽器の振る舞いをうまく加えたのがSuperNatural音源だと思うんだけど詳細は不明。
現在の技術でV-Synth3とか作ってくれると面白いかもしれないけど、使いこなせるプレイヤーが多分いない・・・
BMCチップに全振りの今のローランドにこういう個性的なシンセ作ろうという気概があるかも不明。(SH-4dが関の山)