シンセサイザー研究室

Roland PCM音源講座

ローランド社PCMシンセサイザーでの音作りを見ていきます。

JUNOシリーズ、SonicCell、Fantomシリーズ、Integra-7、FAシリーズとも大体同じです。
※ 写真がXV-5080になっています。

パッチを作る

ローランドのPCMシンセサイザーでは通常の演奏に使う音色をパッチと呼んでます。
パッチは最大4つのトーンという音の最小単位が集まって出来ています。

トーンとは

トーンとは音の最小単位です。 トーン5つ要素で構成されています。

fig_tone

●WG(ウェーブジェネレータ)
WG音の元になる波形を発生させている所です。 PCM波形(ウェーブ)を選択し、音の高さ(ピッチ)の変化を設定します。

●TVF(タイム・バリアント・フィルター)
音の周波数成分の一部を削ったりします。音をこもった音に加工したり、細い音にしたりという事をするセクションです。
※ タイム・バリアント=「時間的に変化する」という意味

●TVA(タイム・バリアント・アンプリファイアー)
音量やパンポット(音の左右の位置)を設定します。(音量やパンポットの時間的変化も含みます)

●EG(エンベロープジェネレータ)
エンベロープ(時間の経過に伴う変化)を設定します。
エンベロープは

 ・ピッチ(音の高さ)
 ・TVF(フィルタ)
 ・TVA(音量)

に対して設定することが出来ます。

●LFO(ロー・フリケンシー・オシレーター)
LFO周期的な変化(ゆらぎ)を設定します。
LFOは2つあり、

 ・WG (音の高さ)
 ・TVF(フィルタ)
 ・TVA(音量、パンポット(左右の定位))

に対して掛けることが出来ます。
WGに掛ければ「ビブラート」、フィルターに掛ければ「ワウワウ」、TVAの音量だと「トレモロ」になります。
※ LFO=ロー(ゆっくりした)フリケンシー(周期的な)オシレータ(波形)

トーンを作る


1.下準備

パッチを作る方法は、1から初期化して作る方法と、メーカーの音色(または自分で以前作った音色)から 自分の作りたい音と似たものを選んで加工していく方法があります。

1から作る場合はパッチの初期化(Initialize)を行います。説明書にやり方は書いてあると思います。
既存の音色を加工する場合は、加工したいパッチを選んだ状態にしておきます。

そして、トーンスイッチを使ってトーンを1個だけ有効にし、1個ずつ作っていきます。
エフェクトも最初は全部オフにしておき、パッチ本来の音が出るようにしておくと作りやすいです。

2.WGを作る

fig_tone2-b

■WAVE(波形)
音色の基本である波形を選択します。
<ローランドのウェーブフォーム命名規則>
波形の名前の付け方は基本的に以下のようになってます。

「ジャンル - 楽器名 - 音の強さ - バリエーション(A B C)- 左右の位置(L R M)」

ジャンルは本当にジャンルの時もあれば、シンセサイザの名前であったりと説明的な内容となります。
例えば「Jazz」とか略して「Jz」、Electricなら「E.」、「JP」ならジュピター「MG」はモーグなど。
楽器名は「Pno」はピアノ、「EP」はエレクトリックピアノ、「Bs」はベース、「Gtr」はギターなど。
音の強さはp、mp、mf、f、ffなど楽譜の強さです。
バリエーションはABCとなっており、波形の明るさ、高域、中域、低域に適してるといった意味合いのようです。
ステレオ波形の場合、名前の後ろにLRと付いてます。Mはモノラルです。

waveform

<波形の再生の仕方>
大きく2タイプあります。

■ワン・ショット
減衰時間の短い音など、音の立ち上がりから最後までをそのままの形で記憶しています。
打楽器音やピアノのハンマー音や、ギターのフレット・ノイズのような楽器のアタック部の構成音なども数多く含まれています。

■ループ
減衰時間の長いものや持続音など、音色変化の落ち着いた段階で波形の一部分を何度も繰り返し再生(ループ)する波形です。
ピアノの弦の響く音や鍵盤を押していればずっと鳴っているような音です。

<波形選びのコツ>
波形選び方なのですが、本物の楽器を作るのか、昔のシンセサイザや効果音的な音を作るのかで選択基準が違います。

本物の楽器をシミュレートしたい場合は波形の名前を見て「コレ!」って物を選択します。
波形名の後ろにLRと付いているものは、左右セットした方が自然です。(発音数2音消費することに注意)
バリエーション波形(ABC)は耳で聞いて判断してください。
強さがある場合トーンを分け、mp、mf、fなどの波形をベロシティ(弾く強さ)によって鳴らす鳴らさないを決めます。
ベロシティ1~50はmp、51~90はmf、91以上はfの波形を使用するとか、好みで調整します。(ベロシティー・コントロール・スイッチ機能)
後で出てきますがローパスフィルタの種類をLPF2かLPF3を使ってベロシティや鍵盤を弾く位置によって自然に聞こえるように調整すると良いでしょう。

一方、シンセサイザや効果音的な音色を合成したい場合は選択基準が違います。 波形の名前なんぞクソ食らえです!
波形はあくまで音色の素材です。ですから、名前が「Guiter」とか「E Piano」となっていても メロディ用シンセリードやシンセベースの素材として使用したって全然構いません。 自分の作りたい音に必要だと感じた波形を選んでください。
例えば、アタック部分はピアノで、その後ストリングスが聞こえるようにするとか ピアノの「コツン」というノイズとエレピを重ねるとか発想は自由です。

1トーンに尽き2つ波形を選べますが、上段がL(左)下段がR(右)となってます。

hakei2

波形の名前に「L」「R」と付く物はステレオサンプリングの波形です。遠慮なく左右にそれぞれ設定してください。

hakei1

それ以外は基本的にはモノラルで良いと思うので、L側だけに波形を設定します。

■FXM(フリケンシークロスモジュレーション)
選んだ波形を特定の波形を使って周波数変調し複雑な音を作ります。激しい効果音などを作るのに適してます。

さて、説明書に書いてあることをまんま書いてみましたがサッパリ判らないですね。
名前からFM音源みたいな変化するのかな?とも思ったのですが「特定の波形」の正体が良く判らず、 弾いた鍵盤に合わせて音程が変わっている訳でも無さそうで、変調を掛けると不安定で変な音になります。 「ドレミファソラシド」って弾く音色にはあまり向かないかも。

多分使い方としてはリズムセット用のリズム音色作るのに良いかも知れません。 使えそうなカラーと鍵盤の組み合わせは以下の通りです。

 ・Color 1 = B(シ)、E(ミ)
 ・Color 2 = B(シ)、E♭(ミのフラット)、F#(ファのシャープ)
 ・Color 3 = D(レ)、E(ミ)、G#(ソのシャープ)、B(シ)
 ・Color 4 = E♭(ミのフラット)、F#(ファのシャープ)、A(ラ)

※ 波形「Sync Sweep」でやると判り易いかも。

■ToneDelay(トーンディレイ)
鍵盤を押してから(または鍵盤を離してから)トーンが鳴り始めるまでの時間を遅らせる機能です。
例えば、トーンを複数用意して片方にトーンディレイを掛けて「やまびこ効果」を付けるといったことが出来ます。

「お琴」の音にホンの少しトーンディレイさせたりすると本物っぽくなったりします。ディレイエフェクトの代わりに使っても良いでしょう。
デチューンと併用して使うと響きが良くなります。

■Pitch(ピッチ)
pitch

コースチューンとファインチューンがあります。コースチューンは半音単位でピッチを変えます。
例えば複数トーンを使って1ノートで和音を鳴らしたい時などに使います。
ファインチューンは半音の1/100単位でピッチを微妙にずらす場合に使います。
複数トーンを使って音を重ねる場合にコレを少しずらすことによって音に厚みが出せます。
ただ重ねるだけだと音が大きくなるだけなのでこのパラメータで微妙に音程をずらすとカッコイイ音になります。 単音の場合はあまり使いません。

ランダムピッチ機能はピッチを不規則に変化させるパラメータです。
アナログシンセサイザのようなピッチが安定しない音を実現するとか ブラスやストリングスなど人間っぽい演奏にしたい時に使います。

■Pitch Envelope
ピッチの時間的変化をEG(エンベロープ)を使って設定します。

pitch-env

fig_eg

縦が音の高さで、横が時間です。
Lと付くパラメータは音の高さ、Tと付くパラメータがその高さになるまでに掛かる時間を表します。ピッチなのでマイナスも有り得ます。

Depthでどの位EGで影響を与えるかを決めます。マイナス値だと、上下がひっくり返ります。
Velocity Sensでベロシティ(弾く強さ)によるピッチの変化の大きさを設定出来ます。

例えばエレタムを作る時とか、リードシンセ音2つ重ねて片方のアタック部分で、 あえてピッチをずらして厚みを持たせるといった事も出来ます。
他にも効果音作ったり、壮大なPAD音色に混ぜて使うとか色々出来ます。

3.TVFを設定する

fig_tone2-c

次にフィルタの設定を行います。

tvf-prm

フィルタは特定の周波数帯域をカットして音の明るさや太さなどを変化させる機能です。最初にフィルタの種類を選びます。

フィルタの種類は以下の通りです。

■LPF(ローパスフィルタ)
fig_lpf
カットオフ周波数(緑の線)より上の成分をカットします。
高域の周波数をカットするので音が丸くなります。
「LPF」「LPF2」「LPF3」とあります。
シンセサイザの音などにはレゾナンス(後述)が付いている「LPF」
アコースティック系楽器用にはカットの勾配が緩やかな「LPF2」「LPF3」を使用します。

■BPF(バンドパスフィルタ)
fig_bpf
カットオフ周波数付近の成分だけを残して他をカットします。
クセのある音を作ることが出来ます。
エンベロープでカットオフ周波数を変化させたりすると効果がハッキリ判ります。

■HPF(ハイパスフィルタ)
fig_hpf
LPFの反対でカットオフ周波数より下の成分をカットします。
音の明るい部分だけが強調され、音が細くなります。変化は判り易いと思います。
高域に特徴のある打楽器系の音などを作るのに適しています。

■PKG(ピーキングフィルタ)
fig_pkg
このフィルタはカットオフ周波数付近の成分を強調するという珍しいフィルタです。
LFOでカットオフ周波数を揺らすとワウ効果を得られます。

フィルタの種類を選んだらカットオフ周波数とレゾナンスの数値を設定します。

レゾナンスとはカットオフ周波数周辺の成分を持ち上げ、クセを付ける機能です。
LPFを選んでレゾナンスを最大まで上げ、カットオフ周波数を大きく変化させてみると、どういった変化が生じるかが判るでしょう。

■TVF Envelope
フィルタの時間的変化をEG(エンベロープ)を使って設定します。

tvf-env

fig_eg

縦がカットオフ周波数の高さで、横が時間です。
Lと付くパラメータは周波数の高さ、Tと付くパラメータがその高さになるまでに掛かる時間を表します。

例えば、ローパスフィルタで最初はこもった音にして時間が経つと明るい音に変化するとか
ハイパスフィルタで最初細い音にしておき、時間が経つと太くて元気な音に変化するなど、色々考えられます。

Depthでどの位EGで影響を与えるかを決めます。マイナス値だと、上下がひっくり返ります。
Velocity Sensでベロシティ(弾く強さ)でフィルタの掛かり具合を変化させる事が出来ます。

ホワイトノイズにフィルタ掛けてエンベロープをいじって風の音を再現とか色々と遊んでみて下さい。

4.TVAを設定する

fig_tone2-d

TVA(タイム・バリアント・アンプリファイア)を設定し、音の音量や定位を変えます。

tva-prm

Level音の大きさV-Sensはベロシティ・センスといって、 鍵盤の叩く強さによる音量の変化の度合いを設定します。
※ ベロシティは鍵盤を押し下げる速さで決まります。強く押してもゆっくりだとベロシティは低いのです。

Biasは押さえる鍵盤によってTVAを変化させるときに使います。

Panトーンの左右の定位をL64~R63まで128段階で設定します。
注意して欲しいのは、パッチ全体のPanの設定に対してこの設定が加算されると言うところです。
パッチのPan設定がR10でトーンのPan設定がR10ならR20のところで音が鳴ります。

Random文字通りランダム(不規則)にPanを変化させます。
ピコピコシーケンスなんかに使うと左右に飛び交って面白いでしょう。

Alternate鍵盤を押すたびに左右切り替わるという不思議な機能です。
複数トーンを用意し、各トーンのLとRを逆にしてやれば「鍵盤を押すたびにトーンの定位が左右ひっくり返す」なんてことが出来ます。

■TVA Envelope
音量の時間的変化をEG(エンベロープ)を使って設定します。

tva-env

fig_eg_tva

縦が音量の高さで、横が時間です。頭とお尻が音量ゼロから始まって音量ゼロで終わってますね。
Lと付くパラメータは音の大きさ、Tと付くパラメータがその大きさになるまでに掛かる時間を表します。音量なのでマイナスはありません。

Depthでどの位EGで影響を与えるかを決めます。
Velocity Sensでベロシティ(弾く強さ)で音量変化を設定出来ます。

オルガンのようにいきなり最高値で減衰もあっという間とか、アコースティックギターのようにアタック部分だけ鋭く、すぐ減衰する物、
ピアノのようにアタックが鋭くゆっくり減衰していく物、ストリングスのようにアタックも滑らかで減衰も滑らかな物・・・色々考えられると思います。

1から設定するのが面倒なら、他の音色のEG設定をコピーして持ってきても良いでしょう。

5.LFOを設定する

fig_tone2-e

LFO(ロー・フリケンシー・オシレータ)を設定し、音の音量、高さ、音質、定位に対して揺らぎを与えます。

lfo1

揺らぎは

 ・音の高さ(ピッチ)に掛ければ「ビブラート」
 ・音量に掛ければ「トレモロ」
 ・カットオフ周波数に掛ければ「ワウ」
 ・定位に掛ければ「オートパン(左右に揺れる)」

になります。LFOは各トーン毎に2つ持っています。

ピッチや音量に掛けて音を震わせるのはよくやりますね。
LFOをゆっくりにしてカットオフや定位に対して掛けてやればカッコイイPAD音色が作れそうです。
トーンを複数使ってトーンを周期的に入れ替えるなんて荒業も出来ます。
例えばトーン1と2を周期的に入れ替えたいときは双方のLFO効果を同じにし、TVAレベルに対するLFOデプスの極性(+/-)を 逆にしてあげます。
定位に対して同じ事をすれば左右に飛び交うなんてことも出来ますね!

■Form
LFOの種類を選びます。サイン波、三角波、ノコギリ波、矩形波、S/H(サンプル&ホールド)、ランダムなどがあります。
普通に揺らすならサイン波や三角波、効果音などでノコギリ波は矩形波を選んだりします。
矩形波をピッチに掛けると救急車のサイレン、TVAに掛けると鳴ったり鳴らなかったりを繰り返す、など発想次第で色々な効果が得られます。

■Rate
LFOの速さを指定します。

■Delay
LFOの掛かり始める時間を設定します。

■Fade
フェードイン、フェードアウトの設定をします。鍵盤を弾いている最中に段々LFOが深く掛かっていく、または浅くなっていく、といった効果です。

■Depth
ピッチ、TVA、TVF、PanそれぞれにどのくらいLFOを掛けるか設定します。マイナス値にすると開始早々下がっていきます。
通常、Depthはゼロにしておいて、モジュレーションホイール(コントロールチェンジ1番)でこの値を操作するのが一般的です。

6.マトリックスコントロール

マトリックスコントロールを使えば複数のパラメータを1つのコントローラで制御可能 となります。

例えば、LFOをソースにすればいろんなパラメータにLFOを掛けることが可能です。
カットオフフリケンシーに掛けるも良し!EGの深さに掛けるも良し!エフェクタのパラメータに掛けるも良し!
例えば、LFOにLFO掛けるとか・・・可能ですね!
・・・っていうかなんでもかんでもコントロール出来ちゃうんですね。
TVAのエンベロープ使ってLFOをコントロールとかピッチベンドでPANを変えるとか、もうメチャクチャ(笑)
ソース一つに尽き最大4つのコントロールを操作可能で、トーンをまたがってもOK!ソースも4つまで選べます!

実際にLFOをLFOに掛ける実験をしてみましょう。ピッチに対して掛けるのが一番判り易いです。

LFO1にRndでピッチを+50、LFO2はSinでピッチ+50にし、コントロール画面でソースをLFO1にし、 Destinationに「LFO2 Rate」を選んで値を+50位に・・・すると?なんか笑い声みたいな変なピッチ変化しますね(笑)

lfo1
LFO1の画面

lfo2
LFO2の画面

matrix1
TVAエンベロープでカットオフをコントロール!?LFOでエフェクトのセンドレベルを!?

matrix2
LFOにLFOを掛ける!ピッチベンドでPANをコントロール!?

ストラクチャとは


1.概要

トーンはこんな感じで構成されています。

fig_tone

ところが、この構造をぶっ壊してしまうという恐るべき仕組みがあります。 それがストラクチャーという仕組みです。

普通のトーンの構造はこんな感じです。

fig_structure1

コレをトーン2つ使って「WG」「TVF」「TVA」の各回路の繋げ方を変えられるようにしてしまいました。

例えばこんな感じです。

fig_structure2

トーン1と2(または3と4)をペアで使う事によりフィルタ回路を直列に繋げたり出来てしまいます。
ストラクチャを使用する場合はトーン1と2(または3と4)のペアで一つの音色となります。
よって計画的に音作りすることが要求されます。

さらにブースター回路リングモジュレータ回路まで間に挟むことが出来ます。

fig_structure3 fig_structure5
「B」がブースタ回路、「R」がリングモジュレータ回路

2.ブースターとは

ブースターとは入力信号をブースト(大きく)して音を歪ませる回路です。
音楽をレコーディングするとき音がデカ過ぎると歪んでしまいクリッピングノイズが発生しますが、アレをワザと音作りに使ってしまうという発想です。
ギターのディストーションのような効果があります。

fig_structure4
fig_booster

実際やってみます。エフェクトは全てOFFにしています。ストラクチャのタイプは3です。
トーン1単体の音※552番 Dual Square C
トーン2単体の音※201番 Syn Gtr B
ブースト後の音
ブースト後エフェクトを付けた音

おお!確かに歪んでますね!

用途はギターに限らず、派手なシンセリードやTB303のようなビキビキベースなどに使うのも良いでしょう。
※ ブースタを使う時はWGのGainを+12dbにした方が効果が判り易いです。

ディストーションとして使用するほかに、片方のトーンの波形(WG1)をLFOとしてもう片方の波形(WG2)を上下にシフトさせることで、 PWM(パルス・ウイズ・モジュレーション)的な変調もできるそうです。
fig_boost_pwm

3.リングモジュレーターとは

リングモジュレーターというのは2つの音を掛け合わせて新しい波形を作ってしまう という機能です。
具体的には「二つの入力音の周波数の和と差を出力する」んだそうです。
例えば
「440Hzと100Hzの音を同時に入れると、540Hzと340Hzの音が混ざったものが出てくる」
とか、そういうことらしいです。
画期的な機能ですが、頭の中でイメージ出来ないという弱点があります

fig_structure5
fig_ring_mod

よく判らないので、実際にFMエレピを作ってみます。ストラクチャのタイプは8です。
タイプ8はリングモジュレートされないトーン2の音もMIXされて出力されます。

トーン1単体の音※48番 Log Drum
(リングモジュレーターは周波数の和と差が出力されるのでトーン1のピッチは+19にして高めにしてます。)
トーン2単体の音※58番 MK-80 EP C
リングモジュレート後の音
リングモジュレート後エフェクトを付けた音
ただのMK-80エレピにエフェクトを付けた音(参考)

おお!なんか弾く強さに伴って派手で複雑さを増す本格的なDXエレピ風に進化しました。
ストラクチャーを使えばこんなプレイヤビリティを刺激する音が作れてしまうのです!

リングモジュレーターを上手く使うコツは片方のトーンに関しては単純な波形の方が判り易い効果が得られるようです。
もう片方のトーンもあまり複雑な音は避けた方が良いでしょう。

4.タイプ別に斬る!

では、ストラクチャーをタイプ別に見ていくとしましょう。

fig_structure1
一番単純なタイプです。普段はコレを使います。
複雑な事をする必要が無い場合や生楽器のシミュレート程度ならコレで十分です。

fig_structure2
フィルターが直列になっているタイプです。
多彩なフィルタリングが可能です。

LPFやHPFを2重にかませば効果は2倍!
種類の違うフィルターを直列に掛けて特殊な効果を狙っても良いでしょう。

fig_structure3
一度フィルターを通した音に対してブーストを掛け、
歪んだ音にさらにフィルターを掛けて加工します。

ブーストを掛ける前にフィルターが使えるのが特徴です。

fig_structure4
ブースターを掛けた後にフィルターが直列で使えるタイプです。
過激にブースト!過激にフィルタリング!過激派にオススメです!

fig_structure5
リングモジュレーターで2つのトーンの音が掛け合わせ、
掛け合わせた音に対してフィルターが直列に掛けられます。

fig_structure6
タイプ5と似てますが、リングモジュレーターを通らないトーン2(4)の音も
ミックスされます。

リングモジュレートされた音とトーン2(4)の音がミックスされた音を
直列フィルタで加工するということになります。

fig_structure7
リングモジュレーターの前後にフィルタがあるタイプです。
フィルターを通した音をリングモジュレートし、さらにフィルターを掛けたい場合に使います。

fig_structure8
タイプ7とほとんど同じですが、リングモジュレーターを通った音とリングモジュレーターを通らないトーン2(4)の音がミックスされます。

fig_structure9
トーン両方にフィルターを掛けたあとリングモジュレーターを掛けます。
リングモジュレーターを通ったまんまの音が出力されます。

fig_structure10
タイプ9とほとんど同じですが、リングモジュレーターを通した音とリングモジュレーターを通らない トーン2(4)の音がミックスされて出力されます。