MOSSはKORGの作った複数の音源方式を1つに凝縮した斬新な音源です。
製品情報はこちら
http://www.korg.co.jp/SoundMakeup/Museum/Z1/
MOSSは「Multi Oscillater Synthesis System」の略です。名前の通り、なんと13種類もの音源方式が収まっているのです!
全部、脱PCM!物理モデリング音源のみなのです!
※ 物理モデリング音源
楽器の構造をDSP(デジタルシグナルプロセッサ)による計算でシミュレートしてしまう音源の事です。
MOSSはコルグの「Prophecy」というソロ演奏用に特化した37鍵シンセサイザに初搭載され、世界各国で絶賛されました。(ホントか?)
また、現行機種のPCMシンセサイザー「TRITON」の前身である「TRINITY」に拡張ボードとして取り付けることも出来ました。
「TRINITY PLUS」「TRINITY V3」には標準搭載されていました。
そして1997年秋、MOSS音源のみで構成され、MOSS自体もオシレータが増強された
第2世代MOSS音源搭載シンセサイザ「Z1」が誕生しました。
がっ!!あっという間に市場から消えました(ぇ
理由は、所長の推測では
だと思います。
「Sondius-XG」の特許ライセンスの供給開始は1997年7月・・・嫌がらせですか?(w
「Sondius-XG」はシンセ業界の潜水艦特許としてシンセサイザーの発展を阻害してる気がします。
ちなみに「Z1」の売り文句は
『A to Z・・・。Analogの原点を見つめ、究極の音「Z」へ至る創造力。シンセサイズの歴史は、ここにひとつの完成型を見た。』
で、実際はどうかというと、『コルグの社長の車がBMWの「Z1」だったから!』だそうです(笑)
http://piza2.2ch.net/dtm/kako/994/994438721.html
※ 関係ないが、KORGの名器「M1」の後継機種「01/W」は当初「M10」として開発されていたが、
企画机の向こう側から覗き込んだ会長が勘違いをしてそのままさかさまに読んでしまった
ことから「01W」が正式名称となったそうだ。
そして現在、MOSS音源はヤマハとライセンス提携結んで「TRITON」シリーズ、及びKARMA用拡張音源ボード
「EXB-MOSSボード」として売られていました。(生産完了)
また、コルグ最高峰シンセOASYSにはSTR-1という弦楽器をシミュレートするプラグインがあり、
この特許取得が活かされています。
それでは、最大の特徴であるオシレータにはどんなものがあるかを軽く紹介します。
スタンダードって訳でシンセサイザの基本波形です。ノコギリ波、パルス波、三角波、サイン波と揃ってます。
パルス波を揺らしてフェイザーのような効果を出すのを「パルスウィズモジュレーション(PWM)」と言いますが、
MOSSはどの波形でもパルス幅を揺らせるようにしてしまいました。
ノコギリ波かパルス波をメインに三角波とサイン波を足してミックスするようになってます。(この時点で3つ音が重なってる!)
※ コルグのMS2000やELECTRIBE Aなどはコレを進化させた物なのです。だから、SSはMS2000などの大先輩なのです。
■音を聴いてみる
壮大なシンセパッド
アナログシンセ風ホルン
バンドパスフィルタサウンド
ノードリード風コキコキシンセサウンド
コムフィルタと言います。Combとは櫛(クシ)の事。
クシみたいな形をしたフィルタで、もう片方のオシレータ、またはノイズを削って音を作るという、
あまり見られないユニークな音源です。シンセクラビみたいな音作る時に有効みたいです。
Variable Phase Modurationの略です。
シンセの基本波形をサイン波で位相変調します・・・早い話、FM音源の事です。
■音を聴いてみる
FMエレピ
メロディがZ1(VPM)アルペジオがSY99(AFM)一番低い音がS80(PCM)
ウフフ、違いが判るかね?
レゾナンスオシレータです。
どういう物かというと、4つあるバンドパスフィルタ(BPF)を使って特定の周波数を持ち上げて独特の音を作るというものです。
ソースはメインオシレータ、サブオシレータ、ノイズなどどれでもOK。
4箇所の任意の周波数部分にコブを作り、フォルマント成分(音の特徴)を作り出すという、一風変わった音源です。
この4つのBPFをEGやコントローラで動かせばフォルマントシェイピング?
「倍音ごとに変化」って書いてあるから階段状に変化してしまいますけどね。
リングモジュレーションです。
キャリア波形を選んで、もう片方(もう一方のオシレータ、サブオシレータ、ノイズなど)と積をとって出力します。
金属音みたいな音が作れます。
リングモジュレーション2つ使ってお互いをリングモジュレーションすると、かき消しあって音が消えるらしい!(笑)
デジタルだから計算も正確なのさ!
クロスモジュレーションです。
キャリア波形を選んで、もう片方(もう一方のオシレータ、サブオシレータ、ノイズなど)と周波数変調します。
FMとはまた違ったザラザラした音になるというか、そんな感じです←説明になってない
オシレータシンクです。
マスター波形(もう一方のオシレータ、サブオシレータ、ノイズなど)を選び、
スレーブ(受け側、4種類の波形から選ぶ)の波形を変形させます。
「マスター波形の周期が1周したらスレーブの位相を0に戻す」という事を行い、スレーブの波形を変形させます。
後で詳しく図解で説明します。
オルガンの物理シミュレートです。ドローバー3つ分に相当します。
このオルガンモデルを2個使えば6個のドローバーを再現出来ます。
※ コルグのオルガン「CX3」の大先輩なのです。
■音を聴いてみる
モデリングオルガン
エレクトリックピアノの物理シミュレートです。
「ハンマーで鉄板を叩いて、その振動をピックアップ装置で電気信号に変えて音にする」
って部分を物理モデリング技術でシミュレートします。
※ ここから先はダブルサイズのオシレータなので、1音色に尽き1個しか設定出来ません。
金管楽器、いわゆるブラスの物理シミュレートです。トランペットとかトロンボーンとか管楽器ですね。
管の長さ、先っぽの膨らみ方、吹く強さ、唇の構え方に至るまで設定出来ます。だから変な形したラッパも作れます。
そこら辺はシンセサイザーなのでやりたい放題です(笑)
■音を聴いてみる
トランペット
中●競馬場(Byす●やま こういち)
トロンボーン
PCMでは有り得ないヘタッピなバンド演奏を再現。
リード楽器の物理シミュレーションです。サックス、オーボエ、フルートなどの木管楽器です。
これも吹き方や形状を変えられるので変な形の楽器が作れます。
尺八、オカリナ、ハーモニカなんかもありますよ。
ギターやベースなど弦を引っ掻く系の物理シミュレートです。
フレットレスベースやアコースティックギターなんか味があってイイっす!
弦を擦る系の物理シミュレートです。ヴァイオリン、チェロなどですね。
実はあんまり本物に近くならないというか、もうちょっと頑張りま賞受賞(ぉ
本物をシミュレートするよりはアクロバティックな音色作りで変な音を作りましょう(笑)
■音を聴いてみる
バイオリン
以上13種類です。
「軽く紹介」でコレかよ!!
でも、これだけあれば何だって作れそうでしょう?
コレにサブオシレータとノイズが重なって1音を形成します。
EXB-MOSSの発音数6音って言ったってこんなに濃い内容の物が6音鳴るんですから、なかなかの物でしょう。
メロディやベースなど「ここぞ」という所で使いましょう!
TRITONはフィルタがローパスとハイパスしかないのでフィルターにこだわる人もMOSS導入はオススメです。
LPF、HPF、BPF、BRF、2BPFと5種類もあるフィルタが2個あり、直列に繋げたりも出来るので、
TRITONでは有り得ないフィルタリングが可能です。
また、TRITONで「ウェーブシェイピングが消えちまった!」と嘆くアナタ!(そんな奴いるのか?)
MOSSにはあります。思う存分ウェーブをシェイピングして下さい!
MOSS音源のオシレータはメインオシレータが2つ、サブオシレータ、ノイズで1セットになってます。
※ メインオシレータはダブルサイズの物(上記の10〜13番)は1つしか使えません。
そして、フィルタセクション、アンプセクションを通り、最後に本体のエフェクトを通って外に出ます。
アンプセクションを出た後の信号は、フィードバックして、もう一度ミキサーに入れることが可能です。
EG(エンベロープジェネレータ)はパラメータの時間的変化、LFOはパラメータに揺らぎを与えるものですが、
MOSS音源ではEG4個、Amp用EG1個、LFO4個も用意されています。
これらはいろんなパラメータにアサイン可能で、
PAN(左右の定位)に掛けても良し!フィルタに掛けても良し!ピッチに掛けるも良し!
例えばトランペットの息吹きかける強さに設定とか、唇の構え方、力の入れ具合にアサインなんて事も可能です。
フィルタはマルチモードで5種類あります。
フィルタとアンプの繋げ方は3種類あり、直列に繋げる事も可能です。
当然、フィルタ1、2ともスイッチがあり、使わない設定にも出来ます。